記念広場地区は、正面入口広場から東西長軸に延びるユリノキ並木園路の内側に配置されている沈床園(沈床池、東西テラス)、中央広場、記念広場と沈松園北側の北テラス(休憩所1棟)を一体とした約1.6haの区域です。
この地区は洋風的(ヨーロッパ調)な景観を特徴とした造園意匠を基調としています。特に正門から昭和大池にいたる東西縦軸約250m間のビスタ(通景・見透線)やユリノキ並木による緑の壁効果で遠近感を強調しており、計画地盤を0.5m~1.5mの高さで変化させ、立体的な視覚の演出を図っています。
正門・正面入口広場
正面入口広場は、県道の栃木街道に面しており、メイン園路広場としての動線と正門としての役割から歩道と一体的な繋がりをもたせた正面広場を設け、入園者等の円滑化を図っています。
正門は、門柱・舗装・石積・園銘版等を産地の異なる日本の花崗岩で構成し、門扉と柵は県木であるトチノキの葉と芽をデザインしたオリジナルの鋳物品を用いて重厚な門構えにしています。
正門入口は、シンボル樹としてハルニレの大木を植栽し、街道沿いには園外の住宅建物等の景観を遮るように、トチノキ・シラカシ・ツバキ・アオキ等の樹木を列植しています。
- 正門
- 園銘板
- 門扉の装飾
沈床園・沈床池
沈松園及び北テラスは、フランス風の整形園を基調としており、長さ90m、巾45mの平面的なデザインの池と中島(観賞用芝生地)は周囲の地盤から約1.5m下げ、巾3mの斜面(サツキ刈込)で立体的な取付けを行っています。
池には左右対称の6か所の噴水(中央高約2.5m、周囲1.5m、キャンドル型)を設け東西のビスタを強調しています。
沈床池噴水の時間
10:00~11:00
12:00~13:00
14:30~15:30
(※強風など、天候等により休止する時があります。)
- 東テラスからの眺め
池の護岸上部を新大谷石の縁取りにより整形の西洋庭園を強調しています。
長軸端東西の池面に接して東西テラスを設け、池縁に転落防止用の鋳物柵を設置し、テラスへは園路から階段および身障者用スロープで接続しています。
- 西テラス
ユリノキ並木
- ベンチを池向きに備えており、読書や語らいの場として利用者の皆様に親しまれています。
- ユリノキ並木とベンチ
北テラス
沈床園を見下ろす形で約1.5mの段差を設け、大理石を柱とした休憩所(54.5㎡)を設置し、周囲はバラを中心とした花壇植栽で西洋風の雰囲気の中での休養空間となっています。
休憩所の大谷石柱と新大谷石(天然大谷石を骨材にしたコンクリートブロック)敷を組み合わせ、材質や色彩の調和を図っています。
中央広場
沈床園と記念広場の中間に位置する広場で、中央に八角形のパーゴラ(頂高6.2m、巾9.6m)を設置しています。八角パーゴラは八本の大理石柱と上部は木製の屋根型の浅と梁で制作し頂部にブロンズ製小彫像<天使の笛>をポイントとしています。
植栽は、東西軸ビスタ(見透し)の距離感を深く出せるように、しぼり効果の手法によりパーゴラ両側にドイツトウヒ、チャボヒバ、西洋シャクナゲ、キャラボク等を植栽しています。
八角パーゴラ
中央広場には、沈床池と記念広場を結ぶ見透し線上の中間に、視線を引き付け印象に残るように、栃木県産の大谷石を柱にした八角形のパーゴラ(立体的人工物)を配置しています。
舗装は、パーゴラの内側を大理石乱張りとし、記念広場舗装とデザインの統一を図っています。
(施工当時は大理石の端材を乱張りに再利用しており、先駆的で作品性の高い舗装デザインに仕上げています)
パーゴラの柱は、栃木県特産の大谷石(直径60㎝、長さ4m)を使用し、洋風の中に郷土産の素材感をモチーフにして本公園の点景拠点としてオリジナル性を創出しています。
(当時、大谷石の長い柱は坑内掘りで採るのは日本初の施工であったそうです。)
12月にはクリスマスイベントとしてイルミネーションが灯されます。
- クリスマスイルミネーション
野口雨情モニュメント
「しゃぼんだま」や「赤いくつ」など、数々の名作を生み出した童謡詩人 野口雨情は北茨城市磯原の出身ですが、晩年は宇都宮で過ごし、昭和20(1945)年1月27日、鶴田町の自宅で息を引き取りました。
このモニュメントは、雨情の生誕120年に当たる平成14(2002)年に際し、雨情の歌を次の世代まで歌い継いでいってほしいという思いをこめて宇都宮ロータリー・クラブより寄付されたものです。
記念広場
記念広場は、大池に接した8角形の広場で、本公園中最もシンボル的な広場であり、3面を大池にデッキ状に張り出し、水面に接しています。
東西軸線(ビスタ)の方向の両側に、大理石柱のパーゴラ(藤棚)とベンチを設置しています。
舗装は、広場を長方形の黒御影石で八角に区切り、内側の大理石乱張り舗装で記念広場を特徴づけています。
植栽は、中央広場と同様で、ビスタ(見通し・通景線)による「しぼり」効果がだせるように、高木類や観賞用花木(バラ)を植栽しています。
当初計画では広場と大池の水際は階段状で直接水面に近づけるよう考えられたが、幼児等の危険防止や維持管理の上から再検討し、風致景観を損ねない範囲の人止柵(高70㎝)を設けることとしました。
広場の中央にはモニュメント(高6mブロンズ製)を設け、背景を大池の大噴水と併せて本公園のシンボルとしています。
- 藤棚とベンチ
- バラの植栽
陽光のうた
この日時計彫刻は、当公園の記念広場にふさわしいモニュメントとして太陽をテーマに企画され、全体のフォルムは日輪を高く掲げた母親と竹竿を片手に駆け寄る子供のポーズで構成され、清潔な詩情と躍動する生命力を表現したものであり、太陽にちなんで子供の像には日時計が組み込まれており、題名は「陽光のうた」と命名されました。
彫刻制作・横浜国立大学教授 中村 宏 氏(栃木県足利市出身)
子供の像に組み込まれている日時計は、可動式の文字盤によって均時差修正を行い、文字盤にうつる子供の手の竿(指針)の影が現在の時刻(日本標準時)を指し、太陽の回転速度が1時間当たり15度の速さで時を刻むことで、企画した当時は世界に類を見ない画期的な日時計と言われました。